今日は、私がこの仕事をして1年目の頃の話、この仕事の介在価値とはなんぞやを教えてくれて候補者さんのお話です。
当時私はエンジニアの紹介をしていまして、その候補者様は40代でバリバリに開発ができて、マネジメント経験もあり、どこに紹介しても内定が出るような方でした。
私がスカウトをし、面談の機会を得て、私の紹介したベンチャー企業の求人で選考を進めてくださいました。
もちろん私のサポート無しでサクサク面接は通過し、無事内定となりました。
最終局面で、候補者様の希望通りの年収よりも下回る提示金額でしたので、
私はこのオファーを受けてくれと、カフェに候補者を呼び出して頼み込みました。
オファーはあっさり断られ、こんなことを言われました。
「大橋さんはエージェントとしての正しい仕事をできていないと思うよ。
日程調整だけやっているけれど、面接官の情報とか、色々私に教えてくれてもよかったんじゃないんですか?
自覚していないかもだけれど、エージェントしか知らない情報ってあるんですよ。
企業は大橋さんに採用費用として私の年収と35%とかを払っているわけで、
大橋さんがいなければ、企業が予算を寄せてもっと私に年収を出してくれたかもしれないじゃない?
そしたらその条件で私はその企業に入ったかもしれない。魅力的な企業さんだからね。」
手厳しいフィードバックです。
私はてっきり、「この人は優秀だから、自分のサポートなんて無くても余裕で通るから、サポート不要でしょ。」と思い込んでいて、
企業からフィーを頂戴していること、それがクライアント企業の予算や候補者様の年収に影響していることなんて頭の隅っこにも無かったのです。
「あなたの仕事は意味を成していない。いない方がこちらが得をする。」と正面から言われかなりショックでした。
ただ、その候補者の方がとても優しかったのが、
その後、そのままカフェで私がどうすればよかったのか、フィードバックを色々話してくれました。
最初から承諾するつもりもないオファーをゴリ押ししてくる営業マンにわざわざ対面で時間を割いて会ってくれ、フィードバックを伝えてくれたのです。
必死でメモを取り、オフィスに戻る電車で悔しさと情けなさと有難さで泣いたのを覚えています。
なんで気づかなかったんだろう、と。
その方はきっと私のことはもう全然忘れていらっしゃると思いますが、
今後付き合うことも無いであろう若いだけの営業マンの私に、厳しい言葉をかけてくれ、
仕事の意味を教えてくれたその方を私は時々今でも思い出します。
なぜ、顧客がお金を払ってくれるのか。
仕事をしているつもり、になったらお客さんは離れていきます。
これはずっと忘れてはいけない視点です。
初心忘れず、長くやっていきたいものですね。


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